ほうりもん

去年の盆前くらいに祖父が他界したとき(祖母は五年位前に他界)に、変な話を聞いた。
実家で通夜をやるので帰郷したんだが、その夜に喪主でもある叔父さんと昔話の流れで、近所の子供が死んだ時の話が出た。

俺が小学校の時なんで、その子がどんな死に方をしたとかは全然憶えていなくて、かろうじてそんな事もあったな~という感覚。
でも叔父さんの子供の頃に近所で全く同じ死に方をした子供がいたらしくて、その時の事を今でも時々思い出すと言ってた。

で、その死に方なんだが手足が千切れて失血死なんだと。
「それ殺人じゃないの?」って聞いたんだけど、結局犯人も見つからないし、文字通り手足が「千切れてる」から、とても人間の仕業じゃない
野性の動物かなんかにやられたんだろうって事で決着がついたらしい。

そんな動物居るのかな、と思って首をひねってたら叔父さんが昔聞いた、同じ死に方をした子供の話もしてくれた。

叔父さんが小学校に入る前くらいの頃、この辺りはすごいど田舎だったらしく、田んぼの中に家々が並んでるような所だった。
でもそういう農家の連中とは別に、何やってるんだか分からないような連中の家もあったらしい。
祖父や祖母はそういう家の人達を「ほうりもん」って言ってたそうだ。

叔父さんはまだ子供だったし、ただでさえ人の少ない所だったからそういう家の子供ともたまに遊んでたんだけど、そうするときまって祖父や祖母は叔父さんに「あそこの子供とは遊ぶな」と怒られたらしい。

叔父さんもどんな意味かは知らないそうだが、そういう家の見分け方として軒先に小さい三角形の紙を吊るしてあったんだと。
だからあまりそういう家の子供と遊ぶのは嫌だった、と言ってた。

で、叔父さんが小学校の高学年くらいの時にそういう家の女の子が件の死に方で亡くなった。
それからしばらくその辺りに住んでる家の大人が毎日集まって、夜中まで帰ってこない日が続いたらしい。
外に出て遊ぶ子供も居なくなっちゃって、叔父さんも祖父や祖母に「暫く外には行くな」って言われたそうだ(何回か黙って外行ってたらしいが)。

結局何日かすると祖父や祖母が夜中まで帰ってこないような事は無くなったけど、例のほうりもんの家の人たちが少しずつ変な行動をするようになった。
叔父さんの話だと、子供が外で遊んでいると常に遠巻きに見つめる、いくつかの田んぼに鶏の足?見たいなのが捨てられる、家の前の土が掘じくり返される、ってな事があったらしい。

そんな事があって、近隣の空気が暫くピリピリしてたある日、近所の子供(叔父さんの友達)が重い病気になったそうだ。
初めは体が痛い痛いと泣くだけだったが、その内だんだん手足が曲がってきて、とても見てられないぐらいになったらしい。
医者の診断ではおそらくリウマチだろう、でもこんなに酷いのは今まで見た事無いと言ってたそうだ。

すると、また近所の大人達が夜に帰ってこなくなった。
どうも叔父さんの友達の病気は、あのほうりもんの家の人達が原因と祖父や祖母たちは考えていたらしい。
そんな事が続いた後、ほうりもんの家の人達は近辺から姿を消してしまって、あの友達も結局その後すぐ死んでしまったそうだ。
叔父さんの話はそこで終わり。

俺はこの話聞いて気分悪かったんだけど、叔父さんが複雑な表情してたからなんか黙ってるしかなかった。
結局それ以上の話は聞けなかったし、そんな強烈な事件が近くであったのにほとんど憶えてないのもいまいち腑に落ちないんだよな。
なんとなく変な感じはするんだけど、よく分からなくて気持ち悪かった。

ほんのりと怖い話38

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