私の体験した話。
仕事の現調が終り、日暮れ間近の峠をトボトボ歩いている時のこと。
薄暗くなり始めた山の中に、ピリリリッという電子音が鳴り響いた。
メールかと携帯を取り出す。未読が一件、件名はない。
開いてみると、本文が一行だけ。
『今、後ろ歩いてるよ!(^~^)』
鳥肌が立った。慌てて振り向いたが、暗い峠には誰も居ない。
誰か知らないがメルアド間違えやがったな。そう思うことにした。
速攻でメールボックスから削除する・・・最後の顔文字に一寸だけムカついた。
操作しながら気が付いてしまった。携帯の画面上部に“圏外”の文字がある。
何かの間違いだろうと納得し、足早に歩き出す。
峠下に停めた車に辿り着くまで、同じ文面のメールが合計四通入ってきた。
それからしばらくの間、仕事でその峠に行くのが少し鬱だった。
山にまつわる怖い話27