フワフワ

小学生の時の体験です。

私には2歳上の姉がおり、私と同級生の男そしてそいつの姉1人も合わせて4人で小さな公園で遊んでました。
そこはある官庁の構内で一般の人は入れません。
夕方まだ明るい時間帯ですが、他には誰もおらず静かな公園でした。
ふと友人が木のこずえの方を見上げて叫びました。

「なんだあれ?」
見ると、木のこずえの間に何やらフワフワと漂っています。
それは長さ50㎝くらいの長方形でもっこりした黒っぽいものでした。

初めは木の上からぶら下がっているのかと思いましたが、木の殆ど天辺に近い位置でフワフワしていたので、明らかに空中に漂っているとしか思えませんでした。
高さ的には10数メートルくらいでしょうか、黒っぽいモワモワしている物ですが正体がわかりません。

友人と私は姉たち二人も呼び寄せて、目をこらして見ますが夕暮れに近いこともありはっきりと見えません。
下から石を投げたりしましたがもちろん当たるわけも無く、その物体はゆっくりとですがフワフワ浮いているだけです。
その光景は海の中でクラゲがゆっくり漂っている感じでした。

ただ漂っているだけで降りてくるわけでもなし、友人と姉たちはそのうち飽きて他に行ってしまいました。
しかし、私は猛烈に好奇心が沸きその物体の正体が知りたくてその場に残り、なんども石を投げ続けました。
明らかに風船の類ではありません。

黒と茶色の間くらいの物体で長方形状の塊で、この形状で風船なわけがないし、なぜ空中に浮いているのか?
風船ならこの大きさまで萎めば浮いてないでしょう。
何より不思議なのは空へ浮いていくわけでもなし、下に下りてくる訳でもないことです。
そのうち、風のためでしょうか物体は少しずつ移動し始めました。
木々の間から離れ始めました。案の定、糸や紐などなく完全に浮いています。

目を凝らして見ていると、フワフワ浮きながら物体が一瞬だけ下方に下りてすぐ上昇しました。
その時見た物体の形状は信じられないものでした。
ネコをひっくり返して背中側から見た光景を想像してください。
私が見えたのは、猫の背中頭のの方を下から見た感じです。
頭は両足の間に挟まれて隠れて見えませんでしたが、両肩から丸まっている脚が一瞬ですが見えました。
大きさ、形状もネコの感じですが他の動物かもしれません。

あっけにとられているうちにその物体は次第に木のこずえより高い位置にフワフワあがり、もう塊にしか見えなくなりました。
もうどうしようもないので公園から出て木のほうを見ますと、その物体は完全に木の上方に浮き上がっていますがまだフワフワ浮いているのが見えました。

好奇心を抑えられませんでしたが、夕暮れも近く帰らなくてはいけないので公園を出ました。
何度振り返ってもその物体はフワフワ漂っているのが見えましたから錯覚とかではありません。
何より友人たちも見ているのですから、自分の幻視でもありません。
公園を出る頃には完全に木々より高い位置にまで浮き上がっていました。

不可解なのはこれが手のこんだイタズラだとして、あの程度の形状大きさで空中にどうやって浮かべられるのか。
それも丁度良い具合に漂う状態に。
いまだに解釈ができないでいます。

不可解な体験、謎な話~enigma~ 84

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