夜のドライブ

かなり昔の話

親友のSがオンボロの軽自動車を手に入れたんで、二人で夜のドライブに出掛けた。
途中で買い物して二人で馬鹿話をしながら楽しく過ごしていた。
深夜2時を過ぎた頃、街灯のない県道を通った。
長い上り坂で、歩道はあるものの周囲は畑で真っ暗。前を見ると30位の男が自転車に乗っている。

「こんな時間にこんな坂道を自転車で上がってるよ、すげーw」
変に感心してそうSに言ったら、
「は?そんなの見えねーよ!」とSが叫んだ。
自転車の男とすれ違いながら「ほらいるじゃん、今すれ違ったし」と言うとSは完全にビビった声で、「やめれ!そんな奴いねーし!」と叫んでアクセルを踏んで一気に通り抜けた。

よく考えたら真っ暗なのに自転車の男は青白く光っててはっきり見えてたし、ペダルを漕いでないのに倒れなかった。
Sにその事を伝えると、半泣きの声で「その手のものが見えても今後は何も言わないでくれ」と頼まれた。

ほんのりと怖い話143

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