鮎の共釣り 2019/5/19 雷鳥一号 知り合いの話。 その日彼は渓流で鮎の共釣りをしていた。 囮の鮎を、川の狙ったポイントに投げ込んだ時のこと。 川面からぬっと蒼黒い手が出て、落ちる寸前の囮鮎をつかんでしまった。 ラインを切られる音がして、手はそのまま水の中に戻ったという。 彼は場所を変えて釣りを続けたが、その日の釣果はボウズだったそうだ。 あの手の主が俺の獲物を全部横取りしたのだ、と彼は言い訳している。 山にまつわる怖い話4