鮎の共釣り

知り合いの話。

その日彼は渓流で鮎の共釣りをしていた。
囮の鮎を、川の狙ったポイントに投げ込んだ時のこと。

川面からぬっと蒼黒い手が出て、落ちる寸前の囮鮎をつかんでしまった。
ラインを切られる音がして、手はそのまま水の中に戻ったという。
彼は場所を変えて釣りを続けたが、その日の釣果はボウズだったそうだ。

あの手の主が俺の獲物を全部横取りしたのだ、と彼は言い訳している。

山にまつわる怖い話4

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