友人の話。
彼が山に登り始めた頃のことだ。
先頭にたって登っている時に、道が分からなくなってしまった。
その時、自分のはるか前を歩いている登山者の影が見えた。
明らかに道が無いような所を歩いているのが気にかかったが、その人について行けばいいやと歩き出した。
いきなり、後から来た仲間に腕をつかまれた。
ついて行くんじゃないと言われ、正しいルートに引き戻される。
前方を見ると、例の人影は背中を向けたまま、その場でじっと足を止めていた。
仲間に尋ねると、良くないものだとしか教えてもらえなかったらしい。
それからも何度かその人影を山で見かけたが、なぜか毎回同じ服格好をしていた。
他の登山者は皆、その姿を見ないようにしていたという。
山にまつわる怖い話4