知り合いの話。
冬山を単独登山していた時のこと。
激しい吹雪に見舞われ、近場の山小屋へ避難した。
暖を取ろうとして燃やせるものを探しているうち、変わった物を見つけた。
缶箱にスクラップブックと、十数枚の様々な宝くじが入っていた。
年末ジャンボから小さな商店街のくじまで、多種多様だったという。
ブックの方は、どうやら宝くじの当選番号を綴じているらしい。
何気なくパラパラと流し読みした彼は、あることに気がついて驚愕した。
箱の中の宝くじは、どれもがその一等懸賞に当たっていたのだ。
残念ながら、引き換え期限はすべて過ぎていたが。
スクラップブックの一番最後には、手書きで乱雑な文字が書き込まれていた。
くだらない
くじを燃やすのも不気味に思われたので、元あった場所に戻したという。
吹雪が止んでその小屋から逃げ出せるのを、彼は心待ちにしたそうだ。
山にまつわる怖い話6