知り合いの話。
彼は、今はもう使われていない小さな火葬場で働いていたそうだ。
その火葬場は小さな山を登りきった所にあり、訪れる者もそう滅多にいなかった。
それがいつの頃からか、変わった客が顔を出すようになったという。
仏が焼かれる時に、焼き場の周りを猫がぐるりと囲むようになったのだ。
そのうちに猫たちは、仏が出る前から集まってくるようになった。
猫の集まり具合で、近いうちに死人が出るなと判断できたくらいだったという。
火葬場が閉鎖されると、猫たちが集まることは無くなった。
猫が死者を送っているように見えたのがとても不思議だった、と彼は言っている。
果たして本当に猫は死者を送るために集まっていたのだろうか。
山にまつわる怖い話6