参拝道の連れ

知り合いの話。

彼の地元の山には、古い由緒ある神社がある。
現在は舗装された道路が通じているのだが、昔から使われていた細い参拝道もまだ残されているという。

その旧い参拝道は林の中に敷かれており、奉納された鳥居が延々と並んでいる。
氏子の中には、こちらの道を好んで通る人も多いのだそうだ。

その参拝道を一人で登ると、奇妙なことが起こるらしい。
いつの間にか、自分の横を誰かが並んで歩いているのだそうだ。
見知らぬ人物ではないようで、二人楽しく談笑しながら鳥居をくぐるという。
最後の鳥居をくぐる頃、気がつくとその連れは消えている。
不思議にもつい先ほどまで楽しく話していたその相手を、どうしても思い出せない。

「おそらく悪い類のものじゃないよ。すごく懐かしい感じがしたな」

そう言っていることからすると、どうやら彼も不思議な連れと一緒になったことがあるようだ。
その道を一人で登る氏子は、今でもよく見かけられている。

山にまつわる怖い話6

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