太いパイプ

同僚の話。

彼が里山を歩いている時のこと。
丸太が埋め込まれた階段の横に、一抱えもある太いパイプが地表に現れていた。
暗渠の排水管が、そこだけ地上に露出しているらしい。

階段を下っていると、横のパイプの上の方から、カラコロと尖った音が落ちてくる。
何か大きな硬い物が、パイプの中を転がり落ちていくようだった。
音は彼を追い越して下っていったが、詰まったのか途中で聞こえなくなった。

その時急に、なぜか彼は様子を窺われているような気配を感じたのだという。
彼が息を殺して立ち止まっていると、再びパイプの中の音が聞こえ始めた。
 カラコロカラコロカラコロ
今度の音は、彼の方へ向かって真っ直ぐ駆け上ってくる!

彼の横まで達すると、カツンガツンと耳障りな音に変わった。
まるで、分厚いパイプの肉を破ろうとして暴れているようだった。
動転した彼は階段を飛び降り、野原を突っ切って逃げたのだそうだ。

山にまつわる怖い話8

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