歌う火

後輩の話。

部活で山を縦走していた時のこと。

行程の内で、腑に落ちない地形が一ヶ所あった。
なぜか緩やかな場所を外して、傾斜がきつい所でキャンプすることになったのだ。
少し離れた位置に、快適そうな広いなだらかな地形が見えていたのに。
また、そちらの方が水場にも幾分か近い。

なぜあっちで野営しないんですかと尋ねてみた。
質問に対する先輩の答え。

あそこでキャンプすると火が使えないんだ。
いや違うよ、火気厳禁とかそういうんじゃない。
炊事とかである大きさの火を起こすと、すぐにその火が歌いだすんだ。
女の鼻歌みたいな感じで、言葉とか何言っているのかはわからない。
ま、気にしなければハイそれまでよってくらいの話なんだけどな。

・・・聞いてみたいな、一回くらい。
ちらっとそう思ったらしいが、いまだ実行できてはいない。

山にまつわる怖い話23

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