知り合いの話。
山奥の古い廃寺でテントを張った時のこと。
その廃寺には見事な大きさの銀杏の木が二本生えていた。
夜寝ていると、テントのすぐ横で、何か重い物を引きずるような音がした。
外を照らして見たが何も動くものはおらず、彼は困惑したという。
翌朝、起きだしてテントを撤収する時、異変に気がついた。
銀杏の木が二本とも、その場所を前日とは変えていたのだ。
地面には掘り返した痕跡が見当たらなかったが、間違いなく移動していたという。
とりあえず銀杏に別れの挨拶をして、そこを立ち去ったのだそうだ。
山にまつわる怖い話6