味噌汁の香り 2019/10/15 雷鳥一号 友人の話。 天文好きな仲間が集まって、山に数日間こもったことがあるという。 街の光を避けて(光害と呼ぶのだそうだ)、星の写真を撮るのだと。 ある朝目を覚ますと、テントの中にいい匂いが充満していた。 味噌汁の香りだった。 誰も味噌など持参しておらず、誰もが首を傾げた。 その日の朝食はインスタントラーメンだったが、皆どこか物足りない顔だった。 結局、予定を繰り上げて、その日の内に下山した。 そして全員が麓の町食堂で、味噌汁のついた食事を摂ったのだそうだ。 山にまつわる怖い話12